逃亡するあなたへ NO,1
はじめまして、こんばんは。あなたと直接お会いしたことはありません。でも、もし顔を合わせたなら――きっと楽しくお話ができる気がします。 今、あなたがどこにいるかは、あえて聞きません。そんな野暮なことを尋ねれば、優しいあなた […]
「ありがとう」について
感謝とは不思議なものだ。心にすっと沁みる雨のように優しいときもあれば、首輪をつけられたように息苦しく感じるときもある。自分が誰かに感謝するときは「それは良いことだから」と軽く口にできるのに、いざ受け取る立場になると、どこ […]
エクストリームサンバイザーサバイバー3倍ババア
街を歩けば、視線を遮るサンバイザー越しに存在を消す。スーパーでは、3倍ババアの神業でレジの列に自然に紛れ込む。誰も気づかない。誰も気にしない。 カフェでは、周囲の雑音に擬態して、静かに席を確保する。スマホの画面越しに、自 […]
いと頭おかしいスメハラ臭臭クレーマーに捧げる鎮魂歌
マルカメムシはロビーの片隅で、じっと体を硬直させていた。思い返すのは、数日前のこと。カマキリに丁寧に事情を説明し、フロントでの対応を依頼した自分の声。書類にメモを取る姿、真剣にうなずく態度。「これで何とかなるはずだ」と、 […]
続・雨垂れ石を穿つ素数ゼミの七転び八起き
石の上にも三秒ルール。三年なんて待っていられない。焼き芋を作るのだ。 まず芋を洗う。土は頑固だ、たわしでこすれ。皮を破いてはいけない。水気を含んだ芋を新聞紙で包み、その上からアルミホイルで二重に巻く。火の直上に置くのでは […]
石の上にも3秒ルール
石の上に三年座ると、石は温まる。だが三秒座ると、ただ尻が冷たい。その冷たさこそ真実だと誰かが言った。誰かはもう石の下に埋まっている。 焼き芋を作ろう。芋をよく洗い、泥を落とす。濡れたまま新聞紙で包み、その上からアルミホイ […]
蛙、帰るのラビリンス 〜蛙舞う市役所にて〜
雪のように白い光が市役所の窓を覆っていた。改装工事のおかげで、建物は確かにきれいになった。タイルは光を反射し、手すりは磨かれ、廊下は以前よりも広く感じられる。しかし、変わったのは見た目だけだった。属人的な構造も、ナルシス […]
スモモも桃も俺のもの
スモモも桃も、どちらも甘い。けれど体は、どちらを食べても必ず拒絶する。花粉の季節になると、果物の甘さと喉のかゆさが交差反応のように重なり、いつも失恋に似た感覚を思い出す。 食べられると思ったものが、食べられない。心を許し […]
