逃亡するあなたへ NO,1
はじめまして、こんばんは。
あなたと直接お会いしたことはありません。
でも、もし顔を合わせたなら――きっと楽しくお話ができる気がします。
今、あなたがどこにいるかは、あえて聞きません。
そんな野暮なことを尋ねれば、優しいあなたは答えてしまうでしょうし、
せっかくの時間が壊れてしまう気がするのです。
それよりも、いまはただ、
この文章が、ほんの少しでもあなたの心をやわらげてくれたら嬉しいです。
子供のころ、あなたは誰と遊んでいましたか?
どんな場所で夢中になって、どんな瞬間に笑っていましたか?
もしかすると、ポケモンをやっていたりして。
あっちへ行ったり、こっちへ行ったり――なかなか捕まらない幻のポケモンを追いかけて。
けれど、もしゲームなんてなかったとしても、鬼ごっこなら遊んだでしょう?
校庭でも、放課後の公園でも。
走って逃げて、必死で追いかけて、タッチされて、笑い声が響いて。
それはきっと、ほとんどの子供が通る道。
懐かしいですよね。
だから、こうして“あなた”に語りかけていると、
僕自身もあの頃に少しだけ戻れる気がします。
一方的に話してしまってごめんなさい。
でも、もしこの言葉があなたの夜に小さな灯をともせたのなら、
それだけで僕は十分に満たされます。

